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木のぬくもり
木にはぬくもりがある」と言われます。確かに金属やガラスを触るとひんやりと感じるのに、木は同じ温度でもやわらかな暖かみを感じます。材質が違うと、同じ温度でも触ったときに感じる温度は違うのです。触ったときの温度とは体が材に触れている接触面の温度のことで、この値は材の熱伝導率・熱容量・接触面積率で変わり、これらが小さいと接触面の温度は体の温度に近くなり、大きいと材の温度に近くなります。ですから木と金属を較べると接触面の温度は木の方が体温に近くなり、そのため寒いときに木に触ると暖かく感じられます。また反対にサウナ室のような高温下でも接触面の温度は体温に近くなるので、木のベンチに火傷をすることなく座っていられるのです。

同じ木でも樹種が異なれば接触面の温度は変わります。比重の小さい針葉樹は広葉樹に比べて熱伝導率・熱容量共に約3分の2なので、針葉樹の方が広葉樹よりも接触面の温度は高くなり、暖かく感じられます。日本では住まいを素足で歩くので、床材の温度が直接伝わります。針葉樹が床材に広く使われてきたのも、このぬくもりが大きな要因といえるでしょう。

ところで、木には温度のような科学的に表される数値だけでなく、心に働きかける暖かみもあります。手触りの柔らかさ、目の緊張をほぐす色調や一つとして同じもののない木目、ほのかな木香など、工業製品に囲まれた私たちをほっとさせる安らぎが満ちています。時を経るにつれて味わいを深める色艶に家族の歴史を重ねることができるのも、ぬくもりのある木の家ならではの魅力です。
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